当園のお茶の詳細


三大銘茶と伊之助銘茶の比較

色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす(狭山茶摘み歌の一部)。昔から一般的に「三大銘茶」と言われているのは、この歌にある静岡茶・宇治茶・狭山茶です。しかし生産量で言うと、1位静岡県(39%)・2位鹿児島県(37%)・3位三重県(8%)・・・当茶園のある埼玉県は11位となり、現在の流通全般で見れば実は希少なものとなっています。(20200220農林水産省発表


ここでは、茶の栽培法で太陽を当てて育てる方法を露地、太陽光線を遮って育てる方法を遮光と分けています。

お茶の製法の中で品質を大きく左右するものに「蒸し」があります。蒸す時間が短いものを「若むし」標準を「普通むし」長いものを「深むし」としています。サイト内に蒸しの説明あります▶ お茶は蒸しで決まる

宇治のデータは、京都府茶業統計を元に作成しています。http://www.pref.kyoto.jp/nosan/chagyotokei.html


荒茶

八十八夜頃に図にある芯を含む1葉~4葉までを摘み取り蒸して揉みながら乾かしたもの。煎茶、茎茶、粉茶、芽茶が全て混ざり合って出来上がる。

煎茶

八十八夜前後(5月2日頃)に1芯2葉で茶摘みされたお茶。当園では、午後の3時頃から茶摘みをする。ほとんどのお茶農家からすると異例の茶摘みスタイルである。(一般的には、午前中に茶摘みして、午後から製造するのがスタンダードである。)茶摘みされた茶葉は、製茶工場で一晩寝かせる。こうすることにより、萎凋香(いちょうか)と呼ばれる独特の香りを醸し出す。また、茶摘み前の1週間ほど、太陽光線を遮る「遮光」をし、お茶の旨み成分である「アミノ酸」を増やし、渋みや苦み成分である「カテキン」を減らす。お茶の色は、鮮緑色で1芯1葉~2葉までをつないでいる茎の部分が、白くならず鮮緑色のまま残り、茶に男らしさを感じさせる。通称「青軸」とか「青茎」と呼ばれている。茶摘みの初めの頃は、茶葉に葉緑素が少ないため、お湯の色は、山吹色となる。香りは、茶葉の青々とした香りがあり、鼻に「ツーン」とした抜けるような香りを感じさせる。業界では、一般的に「みる香」と呼ぶ。味は、やや渋みがあり、舌の上で転がるようなコクのあるのが特徴。煎が効く、さしが効く、つまり、1煎、2煎、3煎・・・と何度でも美味しく出るのがこのお茶の特徴である。

 

(一般的には・・・)

荒茶から往復運動する網の篩、回転する網の篩により選別されたものを言う。特上クラスは、形が針のように伸びており、お湯の色は山吹色である。味は、お湯の温度が高ければ渋みや苦みが強く、冷ませば、渋みが少なく、舌で転がるような濃さが味わえる。上クラスは、形は細かく、お湯の色は緑色。味は、お湯の温度が高ければ、渋みや苦みがやや感じられる冷ませば、渋みや苦みが少なく、きめの細かい味の濃さがある。

 

(増田伊之助茶園の煎茶は・・・)

茶摘み前に1週間から10日間ほど太陽光線を遮る「遮光」をしているので、見た目は鮮緑色であり香りも覆い香(おおいか)と呼ばれる、青のりのような品のある香りを醸し出している。(抹茶や玉露に近い)

茎茶

1芯2葉~4葉をつなぐ部分から出たもの。茶摘みの初期ではあまり出ず、中期から後期にかけて茶葉が硬くなるに従って出来るものである。香りは、若葉の青々とした香りが特徴で、味はすっきりとした飲み口。熱いお湯で淹れても渋み・苦みは少ない。お湯の色は濁らず、澄んだ緑色を呈している。茶の養分の通り道であるため、アミノ酸(旨み)は、比較的多く感じられる。棒茶、雁が音(かりがね)、白折(しらおれ)など色んな呼び方がある。昔から「茶柱が立つと縁起がいい」と呼ばれる茶柱は、この棒茶をさしている。ただ、近年は、土瓶でお茶を飲む習慣が減りつつあるので、茶柱を見る機会も少なくなってしまった。

 

(一般的には・・・)

煎茶を選別する際に回転篩の上に出た荒茶を静電気を利用した電気選別機や色を見分ける

色彩選別機により、色の白くなった、水分の少ないお茶を集めたものを茎茶と呼ぶ。茎茶は、お茶の芽が小さいときには、ほとんど出て来ないが、茶芽が生長するに従い産まれてくるものである。昔は、ピンセットで茎茶を拾っていたが、現在は、電気を利用して茎茶を選別している。煎茶に比べて味の濃さはないが、すがすがしい香りや若葉の匂いが特徴である。味は、薄いが飲みやすいメリットがある。図にある、2葉目と3葉、3葉と4葉をつなぐ箇所が茎茶になってくる。

 

(増田伊之助茶園では・・・)

新芽を指で折り曲げれば、茎茶がどのくらいあるかが大体予想をつけることが出来る。良い荒茶は、煎茶が美味しいと茎茶もそれにつれて美味しいと言われている。

芽茶

茶の芯や葉の先端部分が丸くなったお茶である。茶が部分的に団子状のなっているため、香りは粘りのある匂いがする。お湯の色は濃く、味は少しきつめだが、濃厚さが特徴。太陽光線を遮る「遮光」栽培をしているため、茶葉の見た目も中身も鮮緑色をしている。木に網を張った「篩」(ふるい)と呼ばれる道具にお茶を入れ、時計まわりに廻しながら芽茶を製造している。

 

(一般的には・・・)

新芽を蒸して揉まれる工程で、煎茶のように形が伸びずに団子のように小さく丸まってしまったものを言う。味、香り、色ともに濃いのが特徴である。最近では、芽茶を販売する店が少なくなってきている。

 

(増田伊之助茶園では・・・)

芽茶を復活させたい想いで商品化している。

粉茶

荒茶の製造工程中に水分が少なく揉まれずに乾いてしまった茶葉でふわふわとした軽いものである。1回ぐらいしか味が出ないので、すぐに新しい茶葉に取り替える必要がある。お寿司屋さんで「あがり」と言えば、たいていは、この粉茶が出てくることが多い。急須で飲むと目詰まりしてしまうことが多いため、土瓶や竹の茶こしがおすすめ。ティーバッグタイプであれば、急須のない家庭でも粉茶を味わうことが出来る。

ほうじ茶

水分のない茎や葉の部分を高温短時間で炒りあげたものをほうじ茶という。色は、茶色であるが緑茶の一員である。ほうじ茶は、茶葉の水分が多いと、こんがりきつね色や黄金色に炒りあげることが出来ない。そのため、ほうじ茶や新茶よりも古茶の方が美味しいと言われている。(新茶は水分が多いため、炒ると色が黒っぽくなってしまう。水分が邪魔をする)また、煎茶は水分が多いため、ほうじ茶には向かないと増田伊之助茶園は考えている。ほうじ茶は、高温で炒るため、カフェインが少なく、老若男女を問わずに飲めるお茶とも言われている。